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・アンソロジー『ワシが主役のこの本を読まないとパイ投げの刑ぞい!』に寄稿したもののサンプル。
・デデデ陛下×エスカルゴン閣下。
・“○○しないと出られない部屋”に閉じ込められる話
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「ぽよーっ!」
「きゃーっ!」
どすん。
穴の開いた天井から、少女と生き物のような何かが降ってきた。
思い切り尻餅をついた少女は、体を擦りながら、床に手をつき、起き上がる。
それに対し、ピンクで丸い生き物はうつ伏せに倒れているままだった。少女は彼に駆け寄っていく。
「カービィ! 大丈夫? しっかりして!」
「ぽよぅ……」
カービィと呼ばれたピンク玉は、目を開けるとゆっくりと身を起こす。心身に別状がないことを確認すると、少女は辺りを見回した。
殺風景な、白い部屋だった。粗末なイスとテーブルが申し訳程度に置いてある以外には何もない。
彼女たちは天井から落ちてきたはずだが、たった今、見上げた天井には沢山の蛍光灯が嵌め込まれているだけだった。電灯の明るさが目に沁みる。
「ここは……どこかしら」
少女の疑問に答えるように、笑い声が響く。
「でぇっははは! 見ろ、エスカルゴン。カービィとフームが牢獄に入れられて困っておるゾイ!」
「決算セールの在庫処分品のくせにやるでゲスなぁ、まさかスイッチ一つで本当に投獄できるとは」
エスカルゴンという紫色のカタツムリは、大きな窓ガラス越しにカービィと少女フームを観察した。画面の向こうでは、二人が部屋の中をくまなく調べ回っている。
フームが部屋の隅にドアを見つけた。ドアノブを回すが、当然のようにカギがかかっていて開かなかった。彼女は落胆した。
その様子をゲラゲラ嘲笑っているのは、このオモチャの購入者であるデデデ大王だ。出来栄えに手を叩いて喜ぶが、フームたちがこちらに気付く様子はない。
デデデとエスカルゴンが見ている分厚い窓ガラスは特殊な素材でできており、音声の遮断は勿論のこと、彼女たちからは見ても触れてもただの壁にしか認識できないようになっていた。
「『インスタント牢獄作成機・微の監獄』……良い買い物をしたゾイ」
デデデは窓ガラスに触れた。ふっ、と青白い光が溢れ、看守側の部屋を照らす。窓ガラスにピクトグラムのアイコンが並ぶ。タッチパネルになっているらしい。
エスカルゴンはタッチパネルに触れてしまわないように、一歩後退りした。
「でも、これで良いんでゲスか。閉じ込めただけで何もしないの?」
「今から奴を拷問する、よく見ておくが良いゾイ」
死よりも苦しい拷問をな、とデデデは独裁者らしい悪い笑みを浮かべる。そしてアイコンのひとつに触れた。ピッ、と高い電子音が鳴った。
ガラスの向こうのフームは、テーブルの上にイスを乗せ、さらにその上に立っていた。自分たちが落ちてきた天井の穴を探し、もう一度開けて脱出できないか、調べていたのだ。
高所で作業をするフームを見守っていたカービィの足元に、ころん、と赤いリンゴが転がった。どこからともなく現れたリンゴにカービィが驚いたのも束の間、すぐにリンゴを掴んだ。
唾液を垂らしたカービィは手の上のつやつやのリンゴを、フームに見せる。食べても良いかと尋ねているようだった。
しかしフームはイスとテーブルから降りると、そのリンゴを奪う。
「ダメよ、カービィ。突然、都合よく現れたリンゴなんて、罠に決まっているわ」
「その通り」
デデデは、監視者用のイスから立ち上がる。
「この『微の監獄』に投獄された者は、自分にとって“最も嫌悪すること”をしなければ絶対に脱出できないゾイ!」
この続きは、二次創作同人サークル『星の殻』様の発行するアンソロジー、
『ワシが主役のこの本を読まないとパイ投げの刑ぞい!』でご覧いただけます。
詳細は此方をご覧下さい。
※表紙画像は自作のものであり、本誌には掲載されておりません。
2018.03.21
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